関西事務所は、関西、西日本地域の企業に対して、公開セミナー、講師派遣型研修、展示会などの事業を提供しています。関西事務所の強みは、地域のお客様と顔の見える関係性を築き、お困り事や課題を素早くキャッチして解決をサポートできることです。日本能率協会共通のプログラムに加え、関西事務所独自の研修プログラムも展開しています。関西事務所の所長を務める佐々木香奈子が、スタッフ一丸となってお客様の経営革新や成長を支援する関西事務所の特色や今後の展望をご紹介します。
日本能率協会は、東京の本部のほかに、大阪に関西事務所、名古屋には中部事務所を構えています。私が所長を務める関西事務所は、関西や西日本地域のお客様に向けて、人材育成・組織開発のための公開セミナーや講師派遣型研修、講演会、イベント、展示会などの事業を提供しています。関西には関西地域評議員会もあり、評議員会のご意見をいただきながら、地域産業界の実情に即した事業の企画に努めています。
関西事務所のスタッフは、自分の担当事業を持ちつつ、それぞれが「事務所全体としてお客様に何ができるのか」を考えて日々活動しています。日本能率協会の事業からお客様のためになるものを提供し、私たちの事業を広く関西地域の皆様にお伝えしていくことを目指して、風通し良く和気藹々と仕事をしています。
関西事務所の特徴的な事業に、「人事・人材開発スタッフフォーラム 夢工房」があります。夢工房は、人事、人材開発、経営企画など、企業の中で「人と組織の課題」に携わる若手~中堅社員の方々を対象に、7カ月間にわたり合計12日間の研修を行う関西事務所オリジナルの人材育成プログラムです。
昨今の予測困難な社会経済情勢の中、各企業では、変化にしなやかに対応し、新たな道を切り拓くことができる人づくり、組織づくりが求められています。それに伴い、変革を推進する人材や組織づくりを担う人事部門の重要性も、年々増しています。夢工房では、そうした時代の変化に即した戦略をデザインし、実行できる人材の育成に主眼を置き、組織マネジメント・キャリア研究の第一人者である慶應義塾大学の花田光世名誉教授をメイン講師に迎えて研修を組んでいます。
研修では、毎回講師による問題提起に対して受講生がグループ討議、全体討議で議論を重ね、理論構築力、実践力、説得力を養っていきます。知識の蓄積だけでなく、自己のキャリアの棚卸しを通じた資質向上などにも取り組み、ビジネスリーダーとなるための研鑽を積む機会も設けています。関西地域の大手企業の次代を担う人事スタッフの皆様が、実際に顔をつき合わせて学び、交流を深めていく場として長年お客様に評価していただいているプログラムです。
2022年度に25周年を迎えた夢工房は、これまでに150社以上から500人を超える方に参加していただきました。歴代の受講生の皆様は、プログラム修了後も交流や自主活動を継続し、意見や情報を交換するメーリングリストでも活発なやり取りが続いているようです。また、修了者の中から人事担当役員になる方も次々に生まれ、OBOGの方から「受講中は分からなかったことが、部長になって理解できた」「かつて講師の先生が予測していたことが現実になり、当時の学びが生きている」といった声をお聞きすることもあります。一過性ではない「学び」という縦のつながりと「人脈」という横のつながりは、四半世紀にわたって関西の地で続いてきた夢工房ならではの魅力だと考えています。
関西で実施している研修プログラムを含め、日本能率協会の研修はその場で行われる議論の質が高いことが最大の強みです。その背景には、よく練られたプログラムと、日ごろから自社や担当業務について深く考えている受講者の意識の高さがあると感じています。
関西事務所のお客様は、大手企業とその関連会社が中心ということもあり、先進的な考えをお持ちの方や、最新の動向や理論を先取りして学ばれている方が多くいらっしゃいます。特に人事や人材育成に関しては、政府が「人への投資」「人的資本」を政策のキーワードに掲げていることもあり、最近の研修での質問やお問い合わせの内容がとても具体的になってきています。他社がどのような施策を取るのか、今後の政府の動きの見通しなどに対する関心の高さを感じますし、こちらもさらに勉強しなければ、と刺激をいただいています。
お客様の人事・人材育成への関心の高まりに応える形で、関西事務所は2022年度、新たに人事労務と人事戦略に特化した2つの研修コースをスタートさせました。既存のコースよりもテーマを細分化し、関西地域のお客様の課題意識によりフィットするものを提供したいという考えから生まれた企画です。お客様のお困り事をダイレクトに捉え、タイムリーにプログラムを提供できるのは、地域のお客様に近い関西事業所の大きな強みだと考えています。
また、多くのお客様が日本能率協会に期待することの一つに、企業の枠を超えた交流の場の提供があります。特に、係長・課長クラスは他社と交流する機会が少なく、ここ数年はコロナ禍でさらにその機会が奪われています。自社を俯瞰し、視野を広げるためにも横のつながりを広げる場を設けてほしいという声に応え、最近は講演会や説明会に懇親会を設け、フランクに交流できる時間を確保するよう努めているところです。
関西事務所には、多様なセミナーや研修の提供を通してお客様の課題解決を支援することに加え、関西地域の企業の方々と顔の見える関係性を構築するという重要なミッションがあると考えています。地域に密着して企業とお付き合いをする中で、お客様から気軽に相談していただける関係が築けたと実感できる時ほど、仕事のやりがいを感じる時はありません。相談を受け、課題解決をサポートし、お客様に「ありがとう」という言葉をいただけることはもちろんうれしいのですが、こちらから伺う前に「実はこんなことで困っているんです」「能率協会さんでこんなことをしてくれませんか?」と相談していただけること自体に、やりがいと喜びを感じます。これは私に限らず、関西事務所のスタッフに共通する思いです。
2025年、大阪市の夢洲を会場に大阪・関西万博が開かれます。今、関西地域の企業には、世界の注目を集める万博をきっかけに関西に人や投資を呼び込もうという期待が少しずつ膨らんでいます。この機運に乗って関西地域のお客様の成長を後押ししていくことが、これからの私たちにとって重要な課題です。万博を起爆剤として活用しながら、お客様の新たな取り組みや人的交流をサポートし、関西の産業界の革新と成長に貢献していきたいと考えています。